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本の消化
引きこもるGW最っ高だな!!!

何もしなくていいの最高……ホントに(げっそり)
一回ぐらいは軽登山に出たいけど、そっちはGW終わったら有給消化で行くか。

2月末からフルスロットルで働いてたストレス解消で本買いまくってたんですけど、ようやく二冊消化できた。 物件ホラー短編の「家が呼ぶ」と小野不由美の「残穢」。

「家が〜」はこの続編の「宿で死ぬ」がなんか好きだったので揃えてみた。個人的には「家」よりは「宿」の方が好きかな。
元々類型でいう「迷家」って非日常感が強くて好きなんだけど、あの雰囲気を出してるのは「宿」だと思う。「家」の方だとストレートに怖かったのは三津田信三の「ルームシェアの怪」、雰囲気が好きなのは小松左京の「くだんのはは」。
「宿」はどれもいいけどその中でも好きなのは、宿自体に怪異はなくて古い体質の人間しかいない所に嫁いだ女が舅に反抗して家出する坂東眞砂子の「残り火」って話だけど。
家出先の古い温泉宿自体に曰くはなくて、女の後をついてきた生霊が〜みたいな体でだけど、その生霊の正体とそれを確信した女の心情、そこからの吹っ切れ方がたまんないんだよね。
アゴタ・クリストフの短編集の一つを読んだ時もそうだったけど、鬱屈した日常を諦めながらも生きている女がふと「これが私の人生なのか」って腹の中で煮凝りきった黒い感情に気付く瞬間大好き。
まあクリストフの話は逆に作風・文体と相まってただ虚無感と絶望感しかないけど。「悪童日記」3部作もだけど、作者ハンガリー動乱の難民ってバックボーンがあるからか、徹底して暗い上にドライなんですよね。

このパターンだと桐生夏生の「OUT」も好き。こっちはオバケじゃなくてバラバラ殺人に手を染める主婦グループの話だけど、誰に視点を置くかではあるにせよ凄惨な事件が連チャンで起こるのに妙に読後爽やかとかいう謎の作品。
もう人生も折り返しかそれをとうに過ぎてる年齢の女性が多いってところが絶妙ですね。「残り火」もだけど主人公が女性だからこそ、先行きは暗いはずなのに謎の爽快感が出るんだと思う。

うん?オバケの話から逸れてね?
オバケの話しろ?


「残穢」はモキュメンタリー形式を取ってるってことでいいのかな。平山夢明や福澤徹三の名前もそのまま出てるし。福澤氏の怪談実話集もいくつか持ってるわ、ちょい虫系のグロ多めだけど好き。
残穢は触穢の概念からの造語なのね。こういうふうに特に事故物件でもないはずの一つの部屋の怪異から地道に過去を調べてくタイプの作品は見たことなかったね。
いわゆるホントにオバケが出てきてバァ〜するジャンプスケア作品ではなく(出なくもないが)、怪異の場所と現象の特徴から穢れの源流を探して遡っていく、読み口はホラー小説というより推理作品に似てる作品。だからオバケバァ〜を期待してる人には向かないかも。
あと穢れが現代日本人の流動性とあわさって理不尽に伝播していく感じは実に日本的な思想というか。
穢れの概念って何度解説書読んでも分かるようなわかんないようななんだよねぇ…神道と仏教がごっちゃになってるとますますピンとこないんだけど、死が穢れの中でも最も重いんだっけ。ただの汚れとは全然意味合いが違うし、天つ罪・国つ罪の概念にも通じるんだけど、あっちもあっちで覚えにくいしね…。

サイレントヒルの話になっちゃうけど、あれアメリカの田舎町を舞台にしてるけど思想と怪異の伝播経緯はものすごく日本的なんですよね。少なくとも日本スタッフ製のまではそうだった。


それはともかく映画版も観てみたけど、比較的原作に忠実なので(一部とオチが違う)淡々と進むからより人を選ぶホラー映画になってるかな……私は結構好きなんだけどね。ジワジワくるタイプが好きな人向け?絵面の雰囲気はいいので、夜中に雰囲気ホラーとして楽しむといいかも。

派手なのが好きな人は貞子VS伽倻子でも観てくれ、あれ超オススメだから。
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2022/05/02 14:26 | Comments(0) | 雑記

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